ベビーメタルとバズ・マーケティングBABYMETAL
このページは、リオネル社長保科のコラム、ブログページです。
今回は思いっきり趣味に走っています。肩の力を抜いてお付き合いください。
2015/5/24 リオネル社長 保科筆
前ページ「ベビーメタルとは」、の続きです。
アイドル・ファンから音楽ファンの取り込み(国内)
ファン層の広がり(国内)
ベビーメタルのファンは多彩です。
アイドル・ファンだけでなく、メタル・ファン、ロック・ファンも取り込んでいます。
若い方から50代の方まで、男性も女性もいます。
なぜ、これだけ幅広いファンを獲得できたか、時系列を追ってみると理解がしやすいです。
当初はアイドル・グループの課外活動
ベビーメタルの活動当初は、アイドルグループの中のクラブ活動と言う位置づけだったそうです。
昔の活動のビデオを拝見すると、ライブと言うよりも、アイドル・イベントという印象です。
「アイドルがヘビーメタル・テイストの曲を歌う。」
「ヘビーメタル・アイドルと言うコンセプトを演じる。」
と言った印象です。
ファンの方もアイドル・ファンだったのだろうと思います。
神バンドの投入で音楽ファンを取り込む
状況に変化が訪れたのは、神バンドの投入からではないかと思われます。
それまでのライブではバンド演奏はなく、いわゆるカラオケを流して、ベビーメタルの3人が歌い踊るステージだったそうです。(ビデオを見た限りでは、それでも、かなりの集客で、ライブ・パフォーマンスは高いと思います。)
そこに、プロのミュージシャンで構成されたバックバンド(神バンド)が投入されます。
ボーカルのSUMETAL(スーメタル)の、のびやかな声、達者な歌。
ダンスのYUIMETAL(ユイメタル)、MOAMETAL(モアメタル)のスピード、キレのあるダンス。
神バンドのハイ・テクニック、かつ、迫力のある演奏。
これらが一体となる事で、新たに音楽ファン層(メタル・ファンやロック・ファン)の取り込みに成功します。
海外での成功要因の一つも、この神バンドとのコラボレーションでしょう。
バズマーケティング(口コミ)の成功
ベビーメタル躍進の要因のもう一つに、バズ・マーケティング(口コミ・マーケティング)があります。
外国人がOH・・・ ギミチョコの破壊力
海外でベビーメタルの知名度が一気にアップしたのが、下記ビデオGimme chocolate(ギミチョコ)です。
先ほど(2015/5/24 12:32現在)確認したところ、26,932,064回再生されています。(2千6百万回以上)
Youtubeには、このビデオを見た人を撮影したビデオも公開されています。(主に外国人)
ハードなロックの前奏、どれほどヘビーな曲かと、予感した直後に
「あたたたたーたたーたたたズッキュン!」
ここで、「OH・・・・」とビックリする人が多い様ですね。
その後、ポップなサビのフレーズで、グ!っと心をつかまれた様です。
拡散するファン動画
また海外では、ライブ会場にカメラの持ち込が可能で、ファンの撮影に対してかなりおおらかな様です。
ロックフェスにベビーメタルが参加した様子をファンが撮影した動画(ファンカメラ、ファンカム)が多数Youtubeにアップされ、ツイッター、フェイスブックを経由してどんどん拡散が行われます。
例えば上記は、2014年にベビーメタルが参加したロックフェス「ソニスフィア」を見たファンが撮影した動画です。
再生回数は、2015/5/24 12:50 現在で、762,742回です!
素人が撮影した動画が、なんと7万回以上の再生です。(^^;
音質はそれほど良くないですが、メンバーの動き表情、神バンドの演奏の様子、巨大ビジョン越しに見える大観衆!とライブ感がありますね!
正規のプロモーション・ビデオ+ファン動画の拡散が、ベビーメタルのファン拡大の大きな力になっています。
補足
日本では、著作権や権利関係への考え方の違いから、コンサート会場などへのビデオカメラの持ち込みは、かなり厳しいそうで、撮影は禁止の場合が多いそうです。
飢餓感が生むユーザー行動
TVへの出演が少ない
ベビーメタルはTVへの出演が、かなり少ないと思います。
音楽番組に、たまーに、出演。
情報番組に、たまーに、取り上げられる(VTRだけで、出演なし)。
この程度のTV露出で、バラエティ番組には出演がありません。
(海外ツアーをやって、メンバーの高校生活もあるので、単に出演する時間がないだけかもしれません。)
シングル発売が少ない フル・アルバムは1枚だけ
ベビーメタルは、意外と持ち曲数が少ないグループです。
若い女の子グループですと、次々に新曲を出し、アルバム(LP)を出すイメージがあります。
ベビーメタルは、シングルは5枚(2011.10.24~2015/5/24)、アルバムは1枚だけです。
ベビーメタル日本語公式サイト デイスコグラフィー
正確には、「ロード オブ レジスタンス」と言う新曲が発表されているので、シングル6枚分。
1年に2枚程度のペースです。
良質なレコメンドを大量に浴びる
この情報の少なさが、飢餓感を生み、バズ・マーケティングではプラスになっていると思います。
情報が少ない ⇒ もっと知りたい ⇒ 検索 ⇒ Youtubeのファン動画、ブログのファン記事、ツイッター情報を見る
と言う行動につながっています。
行きつく情報がファンが発信している情報と言うのがミソですね。
熱心なファンが書いた記事ですから、そこには書いた人の熱い思いがあり、非常に読み応えがあります。
沢山の良質なレコメンド(推薦、推奨)を大量に浴びる事になるので、マネジメントサイドがマーケティング費用を大量にかけずとも、熱心なファンを拡大していける仕組みが出来ていると思います。
あとがき
日本では、ステマ問題もあって、今ひとつバズ・マーケティグはメジャーなマーケティング手法になっていない印象があります。
(ステマ問題)
ステルスマーケティングの問題:口コミ・グルメサイトへの、「さくら」による書き込み。芸能人が金銭を受け取ってブログに商品紹介をした事など。
まだ会社勤めでマーケ担当だった頃、バズ・マーケティングのビジネスセミナーに参加した事がありましたが、「これは威力があるが、難しい・・・。」と手を出さない判断をしました。
今回、ベビーメタルをテーマにコラムを書いてみて、改めてバズマーケティングの力と、難しさを感じました。
最後に書き添えさせて頂きますが、ベビーメタルの3人に力があったからこそ、ファン層が拡大し、バズマーケティングが機能した、事を忘れてはいけないと思います。
ベビーメタルファンの方には言葉足らず、説明足らずに感じる所も多かったと思いますが、ベビーメタルを知らないビジネスパーソン向けの記事ですので、ご理解の程よろしくお願いいたします。